前回の写真集のご紹介の続きです。(前回の記事はこちら)
○著 者:長倉洋海
○題 名:『人間が好き アマゾン先住民からの伝言』
○出版社:福音館書店
○発売日:1996.10.25
写真集にはインディオの飾らない表情や姿が収められています。
お祭りや踊りの風景を切り取った写真もあり、
賑やかな空気がこちらに伝わってきます。
個人の土地は本当にはどこにもない
その中で、インディオのヤワナワ族が踊っている様子の写真と、
次の言葉がありました。
ここには個人の土地はない。すべてみんなのもの。
出典:長倉洋海.『人間が好き アマゾン先住民からの伝言』.福音館書店、1996、P.101.
今の私に少しひっかかる所もあり、同時に響く文章でした。
インディオには土地を売買する考えを持っていません。
彼らは森と共に生き、とても自然を尊敬していて、
自然をお金で買ったり持ち物にする対象とは思わないからです。
すごく豊かな価値観だと私は思います。
自然はみんなに恵みを与えてくれるという大自然への信頼も感じます。
現代のくらしで、急に彼らのような価値観を取り入れるのは難しいかもですが、
地球で自然に寄り添う価値観で暮らしている人もいるのだと思うと、
同じ人間として尊敬しますし、なんだかうれしくなります。
私も自然に負担をかけにくい生活を望んでいますので、
いまできる形は彼らとはちがっても、気持ちの上ではとても彼らに共感します。
それでも私がすこし心がざわつくのは、
”みんなのもの”というのは、
みんなのものだから誰が何をしてもいいということでも極論あるかもしれませんが、
でもだからこそ、
その場所に住んでいる自然と人々の気持ちの両方を理解しようとする意図のある人と
関わりたいと個人的には思います。
そこの自然のこともそこに住む人々も、どちらにも関心のある人だと話がしやすいです。
なぜそこまで意見を持っているのかというと、人の価値観は違うからです。
それに考え方が似ている人同士なら、きっと楽しく居られるからです。
これも私の経験からわかったことですが、
無理にどちらかの考えに合わせようとして、
自分が我慢したとしても、相手に我慢させたとしても、
結局、歪みが生じて行き、見えない所で人も自然も破壊の方向へ動いてしまいます。
事を穏便にしようと、少し自分さえ目をつぶればと思っていると、
その延長に自然破壊も一人からはじまってしまうんです。
本人がそんなつもりはなくとも、です。
ですから、(少し話はそれるかもしれませんが)
人も自然を敬って生きたいと思うのであれば、
自分の考えを大事にして、同じような考えの人と関わるのが、
自分にとっても、相手にとっても、自然にとっても、
皆平和に暮らせるのではと私は思っています。
インディオの例でいうと、
集落の皆が、自然を愛で恵みに感謝して、尊敬しているという意味において、
似た考えを持つもの同士なんですよね。
だから人間同士のいざこざもなく、自然の生態系も豊かで、
何世代にも渡りインディオは続いているんですよね。
こちらの記事でも少し触れたように、
人は本来、鳥たちの様に地球に舞い降りたのではないのでしょうか。
地球ありきで人間が地球で人生を楽しめているということを、
私も今一度思い出したいと思います。
それを思ったら、インディオの言うように、
個人の土地など、本当の意味ではどこにもないのかもしれません。
どんなに土地を買っても、持っても、たった100年で帰るのが人間ですから。
地球のほうが明らかに私たちを迎えては見送る側です。
砂取ゲームに躍起になるのも、自然の恵みを味わうのも、・・・
地球はいつもきっと見てくれていると思います。
今日も最後までお読みいただき、ありがとうございました。
次回は、また新たな本をご紹介させて頂く予定です!