ひとつずつ、ぎもんを問いかける

校則のないがっこう

前回の本の続きです。(前回の記事はこちらから)

○著 者:西郷 孝彦
○題 名:『校則なくした中学校 たったひとつの校長ルール』
○出版社:小学館
○発売日:2019.11.16

世田谷区立桜丘中学校の校長、西郷さんは、

子どもたちが三年間幸せに過ごすにはどうしたらいいかを、

最も大切に考えています。

小さな試みを繰り返し、学校のルールも見直していきました。

ひとつずつ、ぎもんを問いかける

ある時、「靴下の色は白」という校則に疑問を持ちます。

かたやセーターの色は、紺という指定もありました。

なぜこの色でなければならないのか、

その色以外の服装だからといって、生徒指導しなければいけないのか等

一つずつ考えて行くと、矛盾や疑問が出てきました。

そんな時、

西郷さんはおかしいと感じたらすぐ質問します。

すると、改めて先生たちも考えはじめます。

こうやってひとつずつ、「どうしてこの校則があるんだろう?」と疑問をぶつけていくうちに、どんどん校則がなくなっていきました。

出典:西郷 孝彦.『校則なくした中学校 たったひとつの校長ルール』.第二章「ない」中学校に、こうしてなった.小学館、2019、P.55.

校長先生自身が校則について考えるなんて、革新的な姿勢ですね。

前例を踏襲せず、多くの学校でしていないことをあえてしていくのは

勇気がいると思います。

校則をなくしたら、今まで荒れていた学校がさらに手に負えなくなるのでは

という考えもあります。

しかし西郷さんは、逆の発想をしたんですね。

詳しくは本に書かれていますが、

ルールを取り除いたらどうか、という考えを採用したんです。

ある種怖いことでもあると思います。

はみ出なければ怒られたり何か言われたりしなかったライン。

それを出るのですから。

今までの基準もなくなり、

何を頼りとしていいかわからなくなるからです。

でもその時に、人の考える力が発揮されます。

なぜこれを守らなければいけないか、

守らないとどうなるか、

考えてみたら守ることの意味がわからなかった、そしてどうするか…

すべて疑問を投げかけることから始まっています。

疑問をもたなければ、怖さも知らなくて済むかもしれませんが、

自分で考える力も同時に閉ざされるんですね。

そして他の先生たちも

決まりは決まりだと決めつけず、なぜだろうと考えられたのは

校長先生から直々に言われたからという理由もあるかもしれませんが、

シンプルに疑問に素直になれたからだと思います。

校長先生の一存で、ここまで中学校全体が変わったでしょうか。

もちろん校長先生が一石を投じて大きな影響を与えたのは確かですが、

先生方にも響いてこそ、

ただ校則をなくしただけでなく、学校の雰囲気が根本的にガラッと変われたのではと

私は思いました。

先生方も人間ですから、

これまで生きてきて何十年間も信じて続けてきた事を、突然疑われたら、

今まで通りが正しいんだと、認めたくない気持ちもあったと思います。

それでも、正直な気持ちに向き合いながら、

校長先生の声掛けに心を傾けていった先生方の柔軟さや勇気も、

すごいなと私は思いました。

一人一人、疑問に素直になると、こんなに全体が動いていくんですね。

今日も読んで頂き、ありがとうございました。

次回に続きます。

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