”私が今、この一瞬を”

里山のあそび

前回の本の続きです。(前回の記事はこちらから)

○著 者:岡本 央
○題 名:『泥んこ、危険も生きる力に 
      ないないづくしの里山学校』
○出版社:一般社団法人 家の光協会
○発売日:2019.8.20

本の終わりには、”里山保育の哲学”の章に掲載されていて、

宮﨑園長の軌跡から沢山気づかされることがあります。

自分で自分の人生を切り開いていける、

そんな人を育てるには、

どんな事を重要視して気を付けているかを、

実際にあったエピソードをいくつも交えて、

宮﨑園長の考えが綴られています。

大人が先回りすると子供はどうなるのか、

一歳児なりの欲求について、

くじけそうになっても心を立て直す人について、

四十年間、時代に沿って革新してきたこと、

里山学校に通った子供たちの体がどのように変化したか、

親御さんとの信頼関係について、など

沢山の項目に分けて、詳しく書かれています。

”私が今、この一瞬を、心の底から受け入れ、楽しんでいるか。”

その中でも、印象に残った言葉が二つありました。

子どもたちが自分で出した答えが、大人から見てどんなにお粗末なものであってもかまわない。自分で生み出したという、その自己信頼こそが重要なのだと考えています

出典:岡本 央.『泥んこ、危険も生きる力に ないないづくしの里山学校』.里山保育の哲学.家の光協会、2019、P.111.

こちらのお考えに、私もとても共感します。

幼い子どもでも、大人の言動や世界を全身で感じ取って、

その時なりにしっかり考えています。

子どもだから難しいことは理解していない、というわではないと私は思います。

前回のこちらの記事でも、

自分の答えを導き出すための、素晴らしい問い方ついて書きました。

自分を信頼する体験の積み重ねが、

最もその人の生きる力を伸ばすのではないのでしょうか。

起きた出来事を、臨機応変に捉えられたり、

自分を拠り所にして、毎日をつくっていけるのではと思います。

平和で、笑顔が自然にあふれるような人生を歩みたいと思った時、

自分への信頼と自信は最も大切で

必要不可欠だと、私の実体験からも感じます。

もしたとえ、

過去の記憶にそのようなものが、みあたらなかったとしても、

どんな道のりを辿ってきたとしても

これからは”自信を持って生きたい”という思いがあれば、

かならず実現できると私は思います。

自分への信頼は思い出すこともできますし、

自信は、少しずつ新たな体験をしながら、育むことができます。

その小さな変化が集まって、実感として認識できるまで

はがゆくて時間がかかることもあるかもしれませんが、

一人で受け取る過程には、誰とも比較できない強い思いがあることを信じて

進んでいきたいと今の私は思っています。

そして、もう一つ、心に響いた言葉があります。

私の園長としての関心事は、『この子は今、この一瞬を、心の底から受け入れ、楽しんでいるかどうか』です。

出典:岡本 央.『泥んこ、危険も生きる力に ないないづくしの里山学校』.里山保育の哲学.家の光協会、2019、P.125.

見守る側の姿勢に、言葉より熱いものを私は感じました。

こんな風に見守られたら、

子どもたちもしっかりとその意図を、十分に感じとるだろうなと思います。

そこに安心感が生まれて、力んだり緊張することもなく、

のびのびと、やりたいことにエネルギーを注ぐでしょう。

これは”大切に人を育てていく”という意味において、

”私が今、この一瞬を、心の底から受け入れ、楽しんでいるか。”

と、自分を確認するように置き換えて考えてみても、

素敵な変化につながるのでは、と私は思いました。

宮﨑園長が、子供たちを見守るのと同じ要領で、

自分が自分を、見守ってみてはいかがでしょうか、

ということです。

”私が今、この一瞬を、楽しんでいるか。”ですと、意味は同じですが、

少しニュアンスが違って聞こえたので、

”心の底から受け入れ”が間に入るだけで、

私にはとても感じ取りやすかったです。

誰でもない、”私”が、

今だけ、”この一瞬”を、

他人の選んだ事でなく、自分が選んだ事を、”心の底から受け入れ”、

ありのままに全身で感じて、”楽しんでいるか”。

個性も価値観も、その時の持ち物も、各々違いますので、

一概には言えませんが、

自問していますと、

疑問や混乱が心で渦巻いたり、最初は戸惑うこともあるかもしれません。

ですが、その奥には、

有無を言わさないほど、とてもはっきりしたシンプルな世界が

感じられるのでは、と思います。

「丸=〇であり、それが理想」という確固たる公式から、

自分を、解放することができます。

もし、すり減らした過去の言動があったとしても、

自分で理由をたどれるようになり、

自分の理解とともに、自ずと手放されて行くのでは、と私は思っています。

今日も読んでいただき、ありがとうございます。

こちらの本の感想は今回で終わりです。

次回、また別の本の事を書きたいと思います。

ありがとうございました。

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