刃物と火をあつかう人のちから

里山のあそび

さて今回も、前回の本の続きです。(前回の記事はこちらから)

○著 者:岡本 央
○題 名:『泥んこ、危険も生きる力に 
      ないないづくしの里山学校』
○出版社:一般社団法人 家の光協会
○発売日:2019.8.20

著者である岡本央(おかもとさなか)さんは、

木更津社会館保育園を何度も訪れ、

天真爛漫な子供たちを見守りながら、冒険する姿を追うのでした。

敷地内の雑木林は、安全に設置された遊具や舗装された道などはありませんので、

滑ったり転んだり、時には痛い思いをすることも・・・

溝にはまって困っている子供の写真もあります。

しかし、その体験が必要だと、こちらの学校では考えています。

他にも、危険をともないつつも、積極的に体験させている事があります。

刃物と火をあつかう人のちから

こんな岡本さんの言葉がありました。

小刀は物作りに、
焚き火は食べ物を煮炊きしたり
体を温めたりするのに、欠かせない。
どちらも、幸せや安らぎを
もたらしてくれる大切な必需品。

出典:岡本 央.『泥んこ、危険も生きる力に ないないづくしの里山学校』.小刀と焚き火は必需品.家の光協会、2019、P.31.

現代社会の風潮では、”危険なことから子供を守ってあげなければ”と思うもの、

それは、刃物と火です。

こちらの学校ではそれらを子供たちに与えて、

実際に使える力になる機会をつくります。

私は、人本来の力を発揮できる素晴らしい取り組みだと思いました。

まだ小さいからといって、

危険回避のため体験させない場面も出てくるかと思いますが、

いつまでも子供たちから取り上げるのではなく

なにがどう危険なのかを感じて考える体験は、

本人にとってかけがえのない財産になると思うのです。

年齢関係なく、人が本来持っている力が発揮できる気がします。

刃物にしても、

その使い方を体で覚えていくからこそ、

危険なものでも素晴らしいものとして活用できるんですね。

日常生活では、野菜を切ったり、髪を切ったり、ものを作るため加工したり、

丁寧にみていきますと、

衣食住すべてに、刃物の力はかかせないものです。

そのおかげで、美味しい料理が食べられたり、

素敵な服が着れたり、気に入った快適な住まいが手に入ったりしますよね。

本当に、刃物は危険視されていますが、実際は縁の下の力持ちのように、

毎日必ずどこかでお世話になっています。

こちらの学校でも、子供たちが小刀を使って作った

木を加工したバターナイフや木刀のような写真が載っています。

とても器用に道具を使いこなし、独創的で面白い作品です。

自分が作った時の達成感や、オリジナル作品への愛着もわくのではないのでしょうか。

少し話が逸れるかもしれませんが、

森や山に入る際山刀は持って行った方がいいと、父親が言っていたのを思い出しました。

木の枝を切って進んだり、目印をつけたり、危険を回避できるからです。

火についてもそうですね、

人の幸せな生活にはかかせません。

人間はもともと、薪をくべて火で煮炊きしていました。

それが時代と共に、ガスになり、電気へと変化しましたね。

一昔前はオール電化というとすごく高級な家のイメージがありましたが、

現在ではかなり一般家庭に浸透してきています。

ものすごく便利な世の中です。

山で燃やすものを調達しなくても、

ボタンを押したりひねるだけで火力が手に入って、

料理やお風呂など、快適に楽しめるのですから。

私は、子供のころから見てきた台所の風景はガスで、

大人になってから、電気とガスのコンロ、両方体験したことはあるのですが、

やはりガスが好きで、今もガスを使っています。

ガス→電気→ガスというように、

電気からガスコンロに戻った当初、

火の調整が微妙な加減ができることに、戸惑いながらも

嬉しくて感動しました。

子供のころからガスでしたので、

一昔前に戻っただけなのですが、

それでも昔使っていた感覚が最初はわからなくて、

そんな自分に戸惑いながらも、繊細な火加減ができる面白さを感じて、

徐々に感覚を取り戻して行きました。

ガスのよさを一度忘れて再発見したような感じでした。

目で確認できる火力は、とても魅力的なんだと思います。

不思議なことに、火は危険なのに、

火が見えると安心するんですよね。

焚き火もそうだと思います。

暖炉の火にも癒されたりしますよね。

火の取り扱いによっては、

確かに焚き火もガスも共通の危険性があります。

でも、見えなければ、何がどう怖いのか、何に気を付けたらいいのか、

わかりませんよね。

今はライフラインが整っているので、

特段考えなくてもいい事かもしれません。

でも、見えない部分かもしれませんが、

形を変えても、必ず人の生活に必要になっています。

そういう意味で、こちらの里山学校で実践されている

刃物や火の取り扱いや煮炊きまで、

好奇心を持って生活の仕組みを学べるのは、

生活に根付いた素晴らしい体験だと私は感じます。

子供の頃に自然の中でこれだけのことが自分でできたのなら、

将来もし、どんな暮らしを選ぼうと、

”どんなときでも自分はやっていける”

そんな自信を自然と、持ち続けていけるのでは、とも感じます。

今日もここまで読んで頂きありがとうございました。

次回に続きます。

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