前回の本の続きです。(前回の記事はこちら)
○著 者:有元葉子
○題 名:『イタリア 田舎生活の愉しみ―見えてきた私らしい生き方』
○出版社:海竜社
○発売日:2001.7.18
野菜全体で素敵な一皿に
野菜が大好きな有元さんは、イタリアの美味しい野菜を沢山紹介しています。
人気野菜の一つ、アーティチョークや
チコリの一種、チコーリア、
野生のアスパラガス(!)、
種類豊富な豆類など、お勧めのシンプルな食べ方が詳しく
生き生きと書かれています。
調理法にも、美味しくするための新しいヒントがありました。
イタリアで初めて知ったのですが、グリーンピースの莢からとてもいいだしが出るのです。たとえばグリーンピースでパスタを作るときに、よく洗ったグリーンピースの莢を煮出します。すると、お湯がグリーンピースの色に変わって香りも出ます。そのお湯でパスタを茹でるのです。
出典:有元葉子.『イタリア 田舎生活の愉しみ―見えてきた私らしい生き方』.5大地の恵みをいただく、野菜の滋味を堪能する幸せ.海竜社、2001、P.158.
莢のだしと実の甘さで、パスタが柔らかい味になるのだそうです。
捨ててしまう部分からもだしがとれるんですね。
アイデアもすごいですが、その野菜のだしや色味をパスタに写してそれを楽しむ
イタリアの人々はとても繊細で素晴らしいなと、私は感じました。
最近日本でも、
健康志向の人も増え、野菜の美味しさを再発見するかのように、
味や栽培方法、鮮度などへの注目度が高まっているのを感じます。
野菜の皮などをとっておいて煮出し、まとめてだしをとるやり方も
話題になっていますよね。
しかしイタリアではもともと、
野菜のだしを利用して美味しくする方法が既に定着しているのだと思いました。
正直、個人的にグリーンピースは苦手ですが(笑)
他の野菜でも応用ができるかもしれないと思うと好奇心が湧きます。
そしてもう一点、
莢を煮出せるということは、
農作物を作る時に様々な薬が使われていないからこそ
安心してできているのかもしれません。
莢をそのまま捨ててもいいのですが、
だしや色を楽しむやり方、私はとても興味があります。
だしというのは、
魚や海藻、キノコが思い付きますが、
それらだけではないところがまた面白いです。
人が感じる「美味さ」「旨味」を支えているのは、野菜もそうなんですね。
そういえば私の経験で思い出したのですが、
野菜のもつ甘味や旨味を、煮汁から発見したことがありました。
こふきいもか何かを作っていてじゃがいもを茹でたあとに、
その白濁したゆで汁を捨てようとして、
何を思ったか、少し飲んでみたことがありました。
すると、じゃがいもの旨味を塩が引き立てていて、
スープのベースになるような、とても美味しいゆで汁でした。(笑)
これには驚きました。
こんなにゆで汁が美味しいとはつゆ知らず、
今まで捨てていたなんてもったいなかった、とさえ思いました。(笑)
もちろん、アクもあるかもしれませんし、様々な意見はあるとは思いますが、
味わいはとても美味でした。
野菜のゆで汁は必ず捨てるもの、という固定概念を取り去ってくれた、
小さな出来事でした。
野菜の味は確かに、肉や魚に比べたら、淡くて、穏やかですが、
長く記憶にも残る、確かな甘みと旨味を生み出してくれるのが野菜なのかもと
思いました。
有元さんの本にあったように、
私も新鮮な野菜があったら、グリーンピースの例に倣って
普段捨てる部分で茹でられそうな部分があれば、
一緒にパスタと茹でて試してみたいなと思います。
ずっと、中の豆を守ってくれていた莢。
その莢の味や色が、
水を通してパスタにうつって、
実と一緒にグリーンピース全体で、
一段と美味しい一皿に出来上がる、
なんだか素敵な物語みたいにも思えるんです。
そういう意味でもこのアイデアは、私の琴線に触れたので書き留めました。
今日も、ここまで読んでいただきありがとうございました。
次回に続きます。