新しい本のご紹介をしたいと思います。
前回の記事まで続けて紹介していた、長倉洋海さんの本
『鳥のように、川のように 森の哲人アユトンとの旅 (徳間書店,1998)』(前回の記事はこちら)
が出版される2年前にも、実は長倉さんは写真集を出されています。
それが、『人間が好き アマゾン先住民からの伝言(福音館書店,1996)』です。
フリーフォトジャーナリスト長倉洋海さんが、
1993年~1996年までにアマゾンの先住民インディオを訪ねた記録を
写真集にまとめたものです。
彼らの輝く瞳、生命力あふれる表情や、自然の中で伸びやかに生きる姿の数々と、
さらにインディオの語る言葉が添えられて、
強烈なインパクトで読者の心を揺さぶる素晴らしい本です。
こちらの本の中で印象に残った箇所を少しだけご紹介します。
○著 者:長倉洋海
○題 名:『人間が好き アマゾン先住民からの伝言』
○出版社:福音館書店
○発売日:1996.10.25
写真集の題名の「人間が好き」は、
インディオの持つ温かさや明るさをダイレクトに表現していますね。
笑顔で親和性を表現する彼らの言葉であり、
長倉さんが感じた彼らのピュアな魅力であり、
長倉さんが伝えたいインディオの真実でもあるのだと私は思いました。
表紙を飾る女性が、また題名と相まって美しいです。
写真を撮られているという意識がなく、自分の世界に没頭して楽しさがあふれている表情に、
見ている人の純粋な気持ちを呼び起こすような、力強い写真です。
誰にもあるどれにもある、存在する意味
一枚一枚大きなページを開くたびに、素晴らしい写真と言葉が登場するので
またご紹介したいページを割愛するのが惜しいですが
今の私に響いた部分は、まずはこちらです。
地球には なにひとつ
出典:長倉洋海.『人間が好き アマゾン先住民からの伝言』.福音館書店、1996、P.30.
むだなものはない
どれにも 存在する意味がある
山も川も呼吸し 生きています
”どれにも存在する意味がある”とインディオは言い切っていますね。
大切に心に留めておきたい言葉です。
存在する意味というのは、
人生をものすごく左右する根幹の部分だと私は思うからです。
存在する意味がわからなくても、必ずあるものとして安心しているのか、
あるいは
存在する意味がわからなくて、不安にかられて外に求めるのか、
大きくはそのどちらかの捉え方で、毎日はつくられるのではないでしょうか。
人間はそういうことを、誰にも教わることなく体得する人もいれば、
そうでなくもがく人もいます。
しかし、後者の人も自分が望めば、
わからないことが沢山あっても自分の存在に安心できる生き方へ変えることができます。
私はそのタイプでした。
どれにも存在する意味があると、言葉で習うのとは別で、
心の安心が伴ってこそ、本当に身体まで浸透するものだと私は思います。
昨今流行るように言われ始めた”自己肯定感”。
私は、様々なところでこの言葉を見聞きするたび
人間の持つ深い悲しみが明るみに出たところで把握されるようになって
癒されてきた人々が増えてきたんだと私はそう思いました。
心の状況を孤独感が薄れた状態で把握できるようになったことは素晴らしい事です。
ただ自己肯定感があるなしに左右されない所を私は
見つめていたいと強く思うこの頃です。
今日も読んで頂き、ありがとうございました。
次回に続きます。